2020年1月25日。大阪は梅田芸術劇場において
「CHESS THE MUSICAL」
初日を迎えました。僕はこのミュージカルでエレキベースとコントラバスを弾いています。今回のこの「CHESS」には
⚫︎アナトリー役 ラミン・カリムルー(Ramin Karimloo)
⚫︎フローレンス役 サマンサ・バークス(Samantha Barks)
⚫︎フレディ役 ルーク・ウォルシュ(Luke Walsh)
⚫︎アービター役 佐藤隆紀(Takanori Sato)
の皆さんがが出演しています。本当に素晴らしい歌声です。中でもラミン・カリムルーさんとは2017年の「4Stars」でもご一緒していました。その時に歌っていた「anthem」…素晴らしかったのです。まさにその曲が入っているミュージカル「CHESS」でラミンご本人と日本にいながらご一緒できるとは!これはまさしく奇跡というほかありません!!
ミュージカルのあらすじは公式サイトをご覧くださいね。
僕はこのミュージカルをベースプレイヤーの視点から簡単に解説してみたいと思います。
まずこの「CHESS」の楽曲はABBAのベニー・アンダーソン(Benny Andersson)、ビョルン・ウルヴァース(Bjorn Ulvaeus)の二人が作曲しています。第一印象として…本当に曲のジャンルが多種多様で幅広いです。クラシックなテイストのものからロック…それも変拍子を多用したプログレッシブロックなもの、ABBAを彷彿とさせるような美しいポップな楽曲まで様々な名曲が揃っています。どの曲にも特長的なメロディ、ハーモニーがあるので…譜面としては大変むずかしいのですが…聴いてると美しく印象的なメロディが続くと思います。
こちらに公式サイトのダイジェスト動画がありますので一部ですがぜひご覧ください!
この様に楽曲の振れ幅が大きいとベーシストとしてはコントラバス、エレキベースの両方の奏法が求められます。指で弾くピチカート一つとってもこれはジャズの4ビートを演奏するのとは違い、クラシカルな響きを作り出すピチカートが必要になってきます。そして弓での演奏も遠慮なく出てきます。僕が経験したミュージカルの中でもエレキベースの難易度とコントラバスの難易度、両方が高いトップクラスの演目かと思います。譜面の途中に
「もしもベーシストが一人だけならここでエレキベースに持ち替えて…」
という指示が(英語で)書かれています。もしも…も何も一人だよ!!…とか思いつつ。(笑)なので他の曲もまるでベース奏者が二人いるかの様なタイミングで持ち替えの指示があることが多々あります。
あくまでベースパートの話ですが…楽器を構えず、楽器をスタンドに置いておける長い休みは一幕、二幕を通しても三箇所しかありません。他はだいたい楽器を持ち替えている間に休みは終了します。中でも二幕の後半、「The Deal」から「Endgame」に入る瞬間は本当に一瞬で持ち替えなければいけません。お客さんの拍手の間だけです。それも非常にハイテンションにエレキベースを弾き終わり…拍手の間にコントラバスに持ち替えて…非常に繊細な弓での演奏に入る…という一瞬の間の曲調の激しい移り変わりになんだか自分が二重人格者になったかの様な気持ちにさせられる瞬間です。
しかし…そんな持ち替えの大変さも、変拍子の難しさも、楽曲の切り替えの早さも…大変なのは最初だけ。全ては自然に流れてくるから恐ろしいのです。なぜならなんの理由もなく変拍子では書かれていないし、なんの理由もなくエレキベースからコントラバスに持ち替えは指示されていないのです。「なるほど…」と納得できる事ばかりです。そしてなんと言っても今回のチェスには圧倒的な
「歌の力」
が存在します。結局のところここに尽きると言っても過言じゃ無いと思います。ラミン、サマンサ、ルーク、佐藤さん…それにエリアンナさん、増原さん…それにアンサンブルの皆さんも本当に強力です!しかも英語!!
それに比べればベースは楽なパートですね♪ただただ低音から皆様の素晴らしい歌声を楽しみながら毎日弾いていこうと思います!
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