スマートCDという発明?それとも常識?

これは発明なのか…すでに常識なのか…それともダウンロード販売だけで充分なのか…。

今、音楽の聴き方は大きな変革期を迎えています。CDプレイヤーを持ってる方がとても少なくなった昨今。40年前はレコードやカセットテープ、30年前はCDとカセットテープ。20年前はCDやダウンロードした音源をMP3プレイヤーで再生したり…そして10年前くらいからはほぼスマートフォンとの連動が主軸になっています。そして今…。音楽の聴き方はどんどん変化していっています。今回はベーシスト&作曲家の立場の岸徹至として

「音楽の発表・販売方法」

に関して考察しましたのでぜひ音楽にご興味のある皆様にご一読いただけると幸いです。そしてこの「スマートCD」というシステムはまだまだ発展途上ですのでご意見、ご感想等もどんどんお聞かせいただけたら幸いです!

スマートCDとは何?

「CDの盤面、ケース、ブックレット」がパッケージ化された「昔からあるCD」に追加機能として「音源のダウンロード機能」を持たせたCDのことです。具体的にはブックレット内に記載されたQRコードからダウンロードサイトへ飛び、パスワードを入力することでCDに入っているものと同じ音源データをスマートフォンやパソコンに取り込めると言ったCDの事を「スマートCD」と呼ぶことにしました。すでにこの種のサービスは日本でも海外でも行われていますが完全に市民権を得ているわけではありません。むしろ自費出版しているミュージシャンの多くはSpotify、Apple Musicといったサブスプリクションサービスに自己のCD音源をアップロードできる「TuneCore」といったプラットフォームを介して公開することが主流になっていると思います。メジャーなサブスプリクションサービスに気軽に自身のCDを置けてしまいますからそちらが主流になって僕の行っているような「スマートCD」的な商品は手間もかかるために主流ではなくなっていると思います。その証拠に実はこの手の

「CDを買ったら音源のダウンロードもできる!」

という種類のCDに特定の呼び名が無いのです。そこで今回僕がchatGPTと会議を開き呼び名を決めたのがこの「スマートCD」です。

「ハイブリットCD」という呼び名も良いかな?と思いましたがこちらは通常のCDと同じ面に多層的に“スーパーオーディオCD”を聴けるように作られたCDの呼び名としてすでに使われていました。僕は触れたことはありませんが確かにそれこそ「ハイブリット」なイメージがありますもんね。というわけで今回発売した

「Moonlit Voyage」(ふたりオケ2ndアルバム)
https://triplebass.net/product/moonlit-voyage-futarioke
はスマートCDとして販売することにいたしました。

スマートCD『Moonlit Voyage』絶賛発売中!

一方サブスクリプションサービスは…

それではSpotify、Amazonミュージック、Apple Music等の音楽配信サブスプリクションサービスに自身のCDをアップロードする…。この方式、我々インディーズな活動をしているミュージシャンにとってはどんな効果をもたらすでしょう?

まずは世界のどこにでも音楽が届けられる。これはとても大きな魅力です。僕自身、逆にリスナーの立場として日本国内ではなかなか聞けないArkady Shilkloper(在ドイツ、ロシア出身の超絶技巧のホルン奏者)のアルバムをSpotifyで発見したときは狂喜乱舞いたしました。こんなマニアックなものが日本で聴けてしまうのか…と。そういった具合でサブスプリクションサービスにメリットが沢山あることも承知しています。しかし実質的な演奏者にとっての収入はどうでしょう?

サブスプリクションサービスに音楽を預けても一部の超メジャーアーティスト以外、収益になるほどの再生回数はほとんど回せません。おそらくほとんどのミュージシャンが利用しているであろう「TuneCore」の年間利用料に満たないことも多いかと思います。配信、ましてや音源だけの媒体で収益を得ることは並大抵ではありません。Spotifyでは

「音源一曲再生あたり0.27円」

という支払い形式になっています。つまり

×1,000=270円(千回)
×10,000=2,700円(1万回)
×100,000=27,000円(10万回)
×10,00,000=270,000円(100万回)

100万回再生ってかなりの回数です。それでこの金額です。100万回再生でもレコーディングにかかる一般的な費用の回収には到底及びません。CD1枚が3000円で売れるとすれば一枚で1万回の再生数と同じ価格になります。もちろん一曲とアルバムの販売ですから単純な比較は出来ないのですが。ともかく配信回数をお金に変えていくのはとても難しい事なのです。レコーディングにかかる費用にしても

「あ、CDじゃ無くて配信限定なの!?それは大変だね💦そーゆー事なら今回のスタジオ代はお安くしておきますよ♪」

…なんてスタジオは当然この世にないわけです。レコーディングにかかる費用は以前と変わらず高額です。もちろん日程やこだわり方によって左右されますが…結構かかります。配信だけに絞れば収益は中々伸び悩みますから費用の回収はとても大変な道のりになるでしょう。そうなれば当然次回作を…という発想も生まれづらくなってしまいます。やはり現状では

「対面による販売」

が可能になる物理的CDはいまだに大いに意義がある存在だと思っています。ある意味「実演販売」のようにライブで音を聴いて感動してくださったお客様が帰りがけにCDをご購入くださる…。こういったケースは自分自身でもよく体験しています。望ましいのはCD販売と同時に配信サービスに頼らない独自の

『音源の配信販売』

を併用する事になるかと思います。こちらはそれこそ世界に向けて販売出来ますし…枚数の制限もありません。ネットでの「音源の配信販売」に関してはまた改めて書いていこうと思います。それに対して対面で販売できる昔ながらのCD(これも不思議なニュアンスですがW)にはジャケットデザイン、楽曲の歌詞、楽曲解説等が付属していることも多くとても製品としてよく出来ています。しかし問題があるのも事実なのです。

自宅にも車にもCDプレイヤーがない!

「家にCDプレイヤーが無い」

すでにこういったご家庭はとても多くなっていると思います。先ほどご紹介したユニット「ふたりオケ」の2024年春のツアーで実際に耳にしたお話です。ふたりオケのライブを聴いて演奏を気に入ってくださったお客様が早速CDをご購入くださったのです。そしてその方がおっしゃるには…

「CDプレイヤー、家にないんです!でも会社のパソコンでスマホに取り込めるので大丈夫です!」

と。これを聴いて愕然としました。自分自身は音楽を生業にしていますからCDプレイヤーを当たり前のように持っています。そしてカーナビを選ぶ時にも「CD再生可能」が必須条件で選んでいます。しかし

「スマホで充分音楽が聴ける」

そうなった現在、わざわざ部屋のスペースを独占するCDプレイヤーを好んでお持ちになる方は激減しているのですね。自分たちのCDを買ってくれた事にはものすごく感謝でしたが…その後のお手の煩わせ方を考えると…ちょっと考え込んでしまいました。きっとこれからCDの聴けないご家庭はもっと増えていくでしょう。そして今はまだCDプレイヤーを持ち続けてくれている皆様も…そのこと自体はミュージシャンの立場からすればとてもありがたい事ではありますが…果たしてこの先どうでしょう?自分でも体験としてよく知っていますが…

『CDプレイヤーって結構壊れる‼️‼️』

のですよね。お手持ちのプレイヤーが壊れた時、次の買い替え…必ずおこなうでしょうか?CDプレイヤーを買う…というのはもしかしたらすでに

『アナログレコード盤のためにレコードプレイヤーを買う』

そのくらい希少な事に代わりつつあるかもしれません。Blu-rayプレイヤー等でCD、一応聴けるとは言え…それこそサブスクリプションサービスの充実でBlu-rayプレイヤーすら無くても生活できてしまいますし…それどころかTVが無くなる可能性すらあります。

僕は家にアナログレコードのプレイヤー持ってますが…こんなのホントに超絶少数派。それでもいま敢えてアナログレコードを販売する方もいます。アナログならではの音質はもちろん…なんといってもジャケットの存在感!!CDの何倍もあるそのサイズならではのジャケットデザインは圧倒的です。そんなこんなで少数派になったレコードをあえて現代で発売する意義はもちろんあるのですが…

「みんな!このアルバムのためにアナログプレイヤーをわざわざ買ってでもレコード聴いてね!」

とは言えませんよね。あくまでも持っている人を対象にするしかなく…それは非常にニッチな市場に向けた販売形態となります。もちろん「だからこそ!」の販売戦略もあるとは思いますがそれはまた別のお話ですね。

スマートCD、スマートレコード、そしてこれから…

でもこの方法、スマートCDの方式ならアナログレコードとスマホの相性すら良くります。アナログレコードの解説文の中にQRコードを忍ばせておけば…

「スマホダウンロード対応アナログレコード盤」

の完成です。スマートレコードですね♪この方法は工夫をすればまだまだ楽しみ方はありそうです。ダウンロードでだけ見れるようなムービーを用意したり…。オープンにしないサイト内だけの限定の何かを配置することは可能です。そしてそこに辿り着くための

「鍵」

としての役割をCDに持たせること…色々とアイデア次第で楽しい企画も作れそうです。残るはセキュリティの問題です。これらのダウンロード音源を管理するのは今のところご購入者の善意に支えられる形になっています。ダウンロードを簡単に済ませられるため最小限のセキュリティ対策に抑えたことで逆に簡単に他者に音源データを渡せてしまう…という側面もあります。ご購入者様のネットリテラシーを信じつつさらにセキュリティ対策を強めて行くのが今後の課題になりそうです。

最後に

『もうCDの時代じゃ無い』

とミュージシャン側が斜に構えるのは簡単です。逆に物理的なCDの良さがあるからと言って

『音楽好きならCDプレイヤーくらい持っとけ!』

と…現状それほど必要で無いものを持っていない方に買えと強要するのもまた良くない。両極端は良くないと思います。どうせなら一枚のアルバムで両方のニーズに応えたい…。それが今回の「スマートCD」を生み出した経緯になります。まだ実証実験中…という感じですがミュージシャンの皆様!webサイトの構築さえ出来ればそんなに難しい事ではありませんよ!もし良かったらご参考に!

そしてオーディエンスの皆様、このサービス…いかがでしょう?ご興味湧いたらぜひご注文の上、ご自身で体験してみて下さいね‼️

いずれにしても様々な形で音楽を楽しめるようになった現代。それを否定するのではなく肯定していく形でより良い音楽の聴き方が出来るようになれば…と心より願っております!

2025年3月13日(木)岸徹至

2 comments

    「スマートCD」なんてものが出たんですね
    情弱な私はビックリです

    注文させて頂きました
    早くテツユキさんのベースが聴きたいです
    生ライブにも行きたいなぁ

             by kako-bee

      ご購入ありがとうございます

      スマートCD、僕の造語ですでもなんとなくイメージと合ってるかな?と思ってます。ぜひブックレットの裏面に記載されてるQRコードを読んでダウンロードしてみて下さい♪

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